カニ先生の生物基礎_第2講「細胞研究の歴史」
受験生のみなさま、かに先生です!
本日も、生物基礎の授業を前回の続きから進めていきます。
本日のテーマは、「細胞研究の歴史」についてお話ししたいと思います。
[目次]
細胞に関する研究の歴史
前回の授業で、生物は細胞を基本骨格として共通に持っているという話をしましたね。
今回は、生物の基本骨格は細胞であるということがどのように発見されてきたのかという歴史を学んでいきましょう。
研究者 | 研究内容 |
---|---|
フック | コルク片を観察し、 構成する小さな部屋を細胞と命名 |
レーウェンフック | 微生物を発見 |
ブラウン | 細胞内に核を発見する |
シュライデン | 植物についての細胞説を提唱 |
シュワン | 動物についての細胞説を提唱 |
フィルヒョー | 細胞は細胞分裂によって生じる ということを提唱 |
細胞の発見
ロバート・フックは、自作の顕微鏡を用いてコルク片を観察し、そのコルク片が小さな部屋から構成されていることを発見します。その小さな部屋を細胞と命名します。
フックさんは、中学校の理科でも有名なばねに関するフックの法則を見つけた人でもあります!
この時代の研究者はいろんなことを研究していたんだね。
微生物の発見
レーウェンフックは、自作の顕微鏡を用いて、微生物の観察に成功します。
レーウェンフックさんは、研究者ではなく商人だったようです。当時大流行していた胡椒がなぜ辛いのか?に対して、顕微鏡でみたら小さなトゲでも見えるんじゃないかと思ったのがきっかけだったようです。そのままだと観察しにくいから、水につけてふやかしたら観察しやすいんじゃないかと思って水につけてみたら、あら不思議、小さな生物がうじゃうじゃいてびっくりしたそうです。
核の発見
ブラウンは、植物細胞の中に黒ずんだ小さなものを発見します。これが細胞の核の発見です。
ブラウンさんは、物理や化学の世界でも有名人です。あのブラウン運動を発見した人でもあります。核が何を意味するのものかは当時まだ分かっていませんでしたが、今では遺伝子の本体であるDNAを包み込んでいる構造体が核だと分かっています。
細胞説という学問の発展
シュライデンは、何かを発見した人ではありませんが、「植物は、細胞が一つ一つ集まって作られている」という仮説を立て、細胞学という学問の扉を開いた人です。この考え方を細胞説といい、植物についての細胞説を提唱しました。
同時期に、「動物は、細胞が一つ一つ集まって作られている」という仮説を立てたのがシュワンという人です。この人は、動物についての細胞説を提唱します。
のちにフィルヒョーという人は、「すべての細胞は細胞から生じる」という考えを提唱した人です。細胞説という考え方が、世に広められていきました。
当時、原子というものが発見され、化学という学問が急速に発展を迎えていました。生物学も細胞という基本単位を考えることで、学問として大きな発展を迎えられるのではという考えから、細胞説という考え方に結びついたようです。
細胞学の研究と顕微鏡
この時代の人たちは、自分で顕微鏡とか作っちゃうんですね〜すごーい!
当時は、顕微鏡の研究が盛んに進められていて、顕微鏡を使って色んなものを観察するのがブームだったらしいよ。
微生物とか見えちゃったらちょっと驚いちゃうかも、でも楽しそう♪
顕微鏡によって研究者たちの好奇心がかき立てられたことで、生物学の歴史が発展していったんだね。
顕微鏡の開発と細胞学の発展は、非常に密接な関係があります。
この時代はまだ光学顕微鏡というのが主流で、μm(マイクロメートル)の世界までしか観察できません。目に見えない細胞という構造があるということは発見できますし、かろうじ核も観察できたかもしれません。でも細胞の中の細かい部分までは見ることができません。
のちに電子顕微鏡が開発され、nm(ナノメートル)の世界が観察できるようになることで、染色体(遺伝子の本体であるDNAが細くひも状に連なったもの)などのより小さな構造体が観察され、生物学はさらに発展していくことになります。
ナノメートルは、化学に登場するタンパク質やデンプンなどの高分子と呼ばれる大きさの世界です。ナノテクノロジーとは、このような小さな世界を制御する技術とも言えますね。
本日のまとめ
細胞に関する研究の業績とその研究者の名前は覚えるしかない。
細胞が生物の基本単位であり、細胞は細胞から生じるという考え方を細胞説という。
細胞に関する研究の歴史は、細胞というミクロなものを観察する顕微鏡とともに発展してきた。